眠りたいのに眠れない、そんな時、あなたはどうしますか。ひょっとしたら、龍潜寺のホームページでも見てみようかと思っているかもしれませんね。
そんなあなたに、心のマッサージをさせてもらいましょうか。体の疲れもおありでしょうが、まずは心の疲れをとってさしあげましょう。
今日、お伺いしたお家のお婆さんが、家族が誰もいないのを幸いにして、こんなグチをこぼしました。
「私は長生きをしすぎましたよ」
「どうして?」と尋ねると、「年寄りは邪魔者扱いですからね」といいます。「娘が一緒に住もうというから、二世帯住宅を建てるお金も出してやったのに、近頃じゃ、晩ご飯が済むと、あっちに行けといわんばかりの態度ですからね。口惜しくて、布団に入っても寝るに寝られませんよ」
こんなグチをいうのは、このお婆さんばかりではありません。
「年をとると、トイレが近くなるでしょう。夜中に起きると、それからが眠れなくなるんですよ」というお年寄りは多いのです。
「そんな時、ロクなことは考えませんからね」とグチります。
ちなみに、ロクなことというのは、正常なこと、まともなことという意味です。漢字で書けば、大陸の陸、地の陸という字になります。陸には、平らかなという意味があります。だから陸でもない事というのは、平らかでないこと、つまらないこととなるのです。その陸でもない事に心を奪われて、一睡も出来ず、昼はウトウトしてしまい、最後には、昼と夜が逆さまになった生活をしてしまう。
「それがボケの大きな原因になるんですよ」と私はお婆さんに話しました。そして朝、新聞で見たばかりのホットな出来事を教えてあげたのです。
「八十五歳になるお婆ちゃんがね、グチは若さの大敵だっていっているよ。このお婆ちゃんは、ひどいリウマチで車椅子に乗った生活をしているけど、毎朝、今日はどうやって人を喜ばせようかと考えるんだって。
そしてパイを作るのが得意だから、一日かかって、それを丁寧に焼き上げ、近所の人に食べてもらうんだそうだよ。
もちろん最初の一切れは、亡くなったお爺ちゃんにお供えするけど、その時、『私を長生きさせてくれないと、おいしいパイが食べられなくなるわよ』といって手を合わせるそうだよ。
そして夜、寝る時には、リウマチで一番痛んでいる足の膝を『今日も一日ご苦労さん』と眠くなるまでマッサージしてあげるんだってさ」
どうです。あなたもそう考えて下されば、今夜はぐっすり眠れるのではないでしょうか。