昨年11月の「コラム」で紹介したように、息子である松尾周瑛上人が2月10日、100日間の荒行を終え、北九州のお寺に帰ってきます。父であり住職である私としても、無事に荒行成満出来ることに安堵すると共に、これで留守番役から解放されると肩の荷がおりたのが正直な気持ちです。
ご存知のように、私がお預かりしている龍潜寺は、明治11年に智玄院日諦上人が、生まれ故郷に再建されたお寺です。日諦上人は龍潜寺を復興するにあたり、10カ年に及ぶ滝行の誓いを立てて、ひたすら滝に打たれ、読経三昧の厳しい修行生活を送られました。その甲斐あって、龍潜寺の再建が立派に也、九州 八幡の地からお題目の輪が広まっていったのです。以来、龍潜寺住職は日諦上人の行いにならい、私の祖父・父・私と、荒行修行に励んできました。
この度、副住職である周瑛上人が通算300日の荒行を成満することは大変嬉しいことです。これからは、修行でたくわえた力を、世の中で苦しみ悩んでいる人達や、社会の為に使ってくれればと思っています。
余談ですが、父は私が4歳の時、500日目の荒行を成し遂げ、お寺に帰ってきました。幼い私は、久しぶりに父に会えるのが嬉しくて、嬉しくて、側にかけ寄ろうとしましたが、父の発するオーラなのか、子ども心に近寄りがたい恐ろしさに似たものを感じ、後ずさってしまった記憶があります。今年小学3年生になる孫の男の子が、父親である周瑛上人の姿を見て、どう感じるか、「将来僕も荒行に行く」という気持ちになるのか、今から楽しみでもあります。