今年11月1日より明年2月10日まで、息子である周瑛上人が、千葉県にある中山法華経寺に開設される日蓮宗大荒行堂に入行しました。早朝3時より深夜12時まで7度の水行と、他は、ひたすらお経を読むという過酷な百日間です。周瑛上人は今年で3度目、通算300日目の荒行挑戦となります。親として100日、無事に乗り切る事を祈るばかりです。
そんな折り、25年前、親である私が、荒行堂に入行中に書いた拙文をみつけました。一部を掲載します。
【荒行堂の中から】
午前3時、荒行堂の1番水が始まります。水行堂は零下2度。当番の初行(今年初めて荒行堂に入った修行僧をそう呼ぶ)が堂内を駆け回り、カチカチと拍子木で合図した後、夜のしじまを破るように「すいぎょおう(水行)」と大きな声を響かせています。
今日は平成10年1月1日、新しい年が訪れました。去年の11月1日、五行僧(5回目の修行僧)として100日の結界に入った私は、2月10日、成満の日の来る日を指折り数えて待っています。ふり返ってみれば、早かった60日、しかし残りは後40日もあるのです。かって先輩が教えてくれた、「100日の荒行は99日をもって半ばとなす」という言葉を今しみじみと噛みしめています。どんな時にも、ゴールに入るその瞬間まで気をひきしめなければならないのでしょう。
思えば、昭和49年、この法華経寺に荒行堂が開設された年に、初行僧として入行した私です。以来五行までの23年間、なんとか師父と肩を並べる所までやってきました。1年前に、「後は頼むぞ」と住職の座をバトンタッチしてくれた師父。その期待に応えるためにもしっかりと自分をみつめ直さなければなりません。そう考えながら荒行堂まで持ち込んだ、父母や家族からの手紙、そして檀信徒からの励ましの手紙を読み返しています。
振り返ると5回の荒行も青春時代から実年、そして熟年時代へと年齢を重ねてきました。荒行の目的は、自身の研算と共に、世界の平和、皆様の幸せを願うためです。
今日もそんな願いを込めて、私も水行場に向かいましょう。水は冷たいけれど、人の心は温かいものであってほしいものですから。
平成10年 元旦 合掌
今読み返しても当時の修行の苦しさが思い出されます。
今から周瑛上人の2月10日の百日成満が待ち遠しいです。